聴衆に伝えるということ・・・

昨日は私がフランスで初演し、レコーディングもさせていただいたピアノ曲が弦楽四重奏に生まれ変わって発表される…と言うことで、現代音楽のコンサートに行ってきました。

一昔前のような、偶然性を追求している、私にはどうにも馴染めなかった音楽は最近ではあまり作られていないようで、どの曲も作り手の気分、心が見える素敵な曲でした。

しかし、自戒の念も込めていくつか気になったことが…。

ひとつの作品を聴衆の前で演奏する時、その曲に魂を吹き込む作業を怠って、ただ楽譜に書かれた音を鳴らすだけの演奏ほどつまらないものはない…と言うこと。

聴衆に伝える為には、その曲から作曲家のメッセージを読み取り、そこから自分が感じ取ったことを音で表現してはじめてその曲に命が宿る…という大切なことを改めて実感しました。

また、演奏するために息を使わない楽器、ピアノや弦楽器・・・を演奏するときの息づかいの大切さと難しさ。その曲に見あった息づかいは必須で、息づかい、間、だけでその曲の印象は全く変わってしまう…という怖さにも気付かされました。

管楽器や歌の場合、息づかいが曲に見合っていなかったり、失敗すれば、上手く音がでない。。。など自分で間違いに気付きやすいけれど、息を止めてでも演奏できてしまうピアノや弦楽器では音楽が自然に流れない原因を息づかいのせいだとは気がつきにくいものなのです。本当は音楽を奏でる上で、楽器が何であろうと自然な息づかいがとても重要なのに。。。


人の演奏を聴くというのは、本当に勉強になります。

でも、本当に本当に素晴らしく、素敵な演奏に出会ったときには頭の中は空っぽ、心がホッコリ暖かくなるもの。。。そういう演奏を目指したいなぁ~と思いながら帰路につきました。