究極のアンサンブル

4月14日、METT管弦楽団のスプリングコンサートでオーケストラのみなさんと共にフランス人作曲家ダンディの「フランス山人の歌による交響曲~オーケストラとピアノのための~」という曲を演奏しました。

 

この曲、作曲家自身がピアノコンチェルトではなくてあくまで交響曲というジャンル分けをしているのですが、でも表題にはわざわざ オーケストラとピアノのための と書かれている面白い曲です。

 

ピアノは華やかなソロ部分もありながら、オーケストラの一員としてのピアノパートという色合いの方が濃いように感じ、私は極限までオーケストラの音色に沿って、溶け込む演奏を目指してみたい、と思いこの公演に臨みました。

ピアノが最初に登場する場所では、オーケストラの大きな流れの中に完全に溶け込んだ中から少しずつ少しずつピアノの音が聞こえ始め、気がついたらピアノが旋律を奏でていた。という響きを目指し、木管楽器とデュエットする場面では敢えて、管楽器の柔らかい響きに寄り添い、弦楽器のピチカートと和音を作る部分では弦楽器の音に溶け込む。。。。というように、ピアノ一人が浮き立つのではなく、オーケストラと一緒に一つの曲、響きを形づくりたいと思ったのです。

 

ピアノコンチェルトを想像されたお客様にはちょっぴり物足りなかったかもしれません、、、でも、オーケストラ対ピアノではない、室内楽的な曲作り、響きをダンディは求めてこの曲をコンチェルトとはせずに交響曲としたのだと思うので、オーケストラと共にうねりながら音楽が進み、時にピアノがリードし、時にオーケストラが音楽を引っ張りながらそれぞれの楽器と対話しながら音楽が進んでいく面白さ、心地よさが少しでもお客様に伝わっていたら良いなぁと思います。